京都映画盛り上げ隊!
♯6「京都映画センター」宇都宮信人さん

答えてくださった方京都映画センター 事務局長 宇都宮 信人さん
影響を受けた映画『レオン』『007』シリーズ…元々父親の影響で映画は好きでしたが、大学までずっと陸上ひと筋できたため、周囲にあまり映画の話をできる人がいませんでした。『レオン』はそんな中で初めて自分で調べてミニシアターに足を運んだ映画で、今でも好きな作品です。
『007』シリーズは、スパイとかガジェットが出てくる映画が好きなので、そういうものを思い切り楽しめるところが純粋に好きです。同じ主人公を色んな役者が演じており、長く人々に愛され続けているところもすごいと感じます。

創立の歴史など、施設に関する豆知識

京都映画センターは、先代の社長が1970年に創業しました。当時は映画といえばフィルムで、上映するのに大掛かりな映写機が必要だったため、映画館のない地域にも映画を届けようと、移動映写部隊のようなスタイルで上映を行っていたそうです。
そこから次第にデジタル化が進み、映画を観る環境が変化する中で、機材を提供するという役割から「良い作品を届ける」という役割を担うようになっていきました。現在は映画館で上映された作品を二番館的に上映する一方で、映画館でも上映されていないような作品を配給し、制作者とお客様をつなげています。


センター内の倉庫に保管されている貴重なフィルム映画の数々

配給作品はどんな風に決めていますか?

こちらからぜひやりたいと掛けあって取り扱う作品もありますし、持ち込みされる方も多いですね。今は映画館で上映できない作品も多いので、そういった作品を当センターでお預かりして、どうやったらたくさんの人に観てもらえるかといったアイデア出しの段階から一緒に行っていくこともあります。


オフィスに貼られた取り扱い作品のポスター

映画センターは全国各地にあるようですが、どのような組織なのでしょうか

基本的な運営内容はどこも同じで、「良い作品を広げていく」という方針に基づき活動しています。配給作品も共通なので、映画館での上映が終了した作品や、上映することのできなかった作品が、映画センターを通して全国各地で上映される機会を創出しています。
映画センターはちょうど今年「全国映画センター」として一般社団法人化されました。


昔懐かしい雰囲気の漂う京都映画センターオフィス

上映はどんなところで行うことが多いですか?

取り扱い作品が平和や人権、福祉などをテーマにしているものが多いため、行政関係や学校にお声がけいただいて上映会を行うことが多いですね。その一方で、最近では「航海薄明(こうかいはくめい)」というプロジェクト名で京都映画センター独自のコンテンツとして野外上映イベントも企画しています。

上映会を行う場合、どのくらいの費用が必要ですか?

収容人数や上映回数、料金の有無などで価格は変わってきますし、上映場所が屋内か野外かでも機材が変わってきたりするので、ひと言で言うのは難しいです。なので、上映会をやりたいというお問合せをいただいたら、まずは予算をお聞きします。その中で、どういうお客様に向けて、どんなスタイルの上映会ができるのかを一緒に考え、ベストな提案をさせていただいています。

シネコンや自宅で観る映画とはここが違う、という上映会の特徴があれば教えてください

目指しているのは生活以上、イベント未満の上映会です。うちは子どもが2人いるんですが、リアクションが大きい方なので映画館だと色々と気を遣います。一方で家のテレビやスマホで映画を観ているだけだとちょっと寂しい。そういう子どもたちがリラックスして映画が観られて、作品の面白さを誰かと共有できるような空間作りを心掛けています。あとは地域密着型であることも当センターの特徴だと思います。

航海薄明についてくわしく教えてください

コロナ禍で上映会が激減した時期に、とにかく何かせねばと思って出した企画書にとある企業様が興味を持ってくださり、2020年に全国でドライブインシアターを行う機会をいただきました。元々私自身がアウトドア好きということもあり、これがすごく楽しかったんです。客層も普段の上映会とはかなり違っており、それまで若い世代に来てもらえるような上映のアイデアを出してこなかったことに気づかされました。
その後文化庁の補助金を利用して当センター主催でドライブインシアターや野外上映会にチャレンジする機会があり、もっと同じようなイベントを続けていきたいということで始まったのが「航海薄明」です。プロジェクトとして発足したのはごく最近ですが、今後は単なる野外上映会ではなく、野外イベントとしてストーリー性のあるような取り組みを行っていきたいと考えています。


2022年12月に開催された野外上映イベント「LAKE IT EASY」

これまでに行った上映会で印象的なエピソードがあれば教えてください

ここで働き始めて最初の仕事が『徘徊 ママリン87歳の夏』という認知症のドキュメンタリーの上映会でした。有名な役者さんも出ていないニッチな作品だったため、お客様が入るか正直不安でしたが、福祉関係の行政の方と一緒に上映会を企画したところ満席になりました。それまでは有名な作品があってこそ上映会は成立するものだと思っていましたが、作品の届け方次第で人は集まり、マイナーな作品でも内容が良ければ心に届くのだと知り、配給の面白さに気づかされました。

今後挑戦してみたいことは何ですか?

映画の上映を通してまちづくりなど、地域貢献をしていきたいと考えています。例えばある商店街では、道の真ん中にスクリーンを立てて上映会をやってみようというお話が出ていますし、こちらはまだアイデア段階ですが、テントに入りながら観られる野外上映といったアイデアもあります。また、現在行っている上映会にもゲストを招待して話をしてもらうなど、映画上映プラスアルファの体験がしてもらえるような企画を色々と検討中です。
さまざまな企画を実現していくためには、主催者側に多くの人を巻き込んでいく必要があると考えています。特に「航海薄明」は当センター以外の方にも参加していただき、一緒にイベントを作り上げていきたいと思っているので、興味がある方はお気軽にお問合せいただけると幸いです。

近日中に開催されるおすすめイベントがあれば教えてください

11月11日に宝が池公園で野外上映イベント『パークシアター in宝が池公園』が開催されます。人気作品『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を上映しますので、ぜひ遊びにいらしてください。


Information

・施設名:京都映画センター
・所在地:京都市中京区二条通寺町東入榎木町87番地 河二ビル4F
・TEL:075-256-1707/FAX:075-255-1905
・E-mail: info@kyoto-eiga.co.jp
・公式サイト http://www.kyoto-eiga.co.jp/