答えてくださった方劇場マネージャー 喜多野純さん
影響を受けた映画『デッドマン』『アンダーグラウンド』…『デッドマン』は高校時代、映画に詳しい友人から勧められて観た映画。それまで金曜ロードショーでやるような大作系の映画しか知らなかったのですが、映画の奥深さを知るきっかけになりました。
『アンダーグラウンド』も同じ流れで観て好きになった映画です。バンドマンでもある監督のエミール・クストリッツァがライブで来日した際、偶然喫茶店で遭遇して写真を撮ってもらいました。
運営会社のシマフィルムが京都市と共同で運営していた「立誠シネマ」が閉館することになりました。次の新しい場所を探している中で、京都の市街地からは離れているものの、周辺には大学も多く、若い人たちが普段着でふらりと立ち寄れる立地と考え、2017年12月に現在の場所に移ってきました。施設は元薬局だった建物をリノベーションしており、地下1階、地上3階建てで2つのシアタールームがあります。
1.映画、だけじゃない楽しさ…出町座には鯖街道の名前にちなんだ本屋「CAVA BOOKS」、そして食事メニューからデザートまで幅広く揃うカフェ「出町座のソコ」が入っています。カフェのサンドウィッチはシアター内にも持ち込みが可能。本探しやコーヒー休憩といった用途でも、気軽に立ち寄っていただける場所でありたいと思っています。
2.スタッフがアーティスティック!…絵や造形が得意なスタッフがいるため、館内に手作りポップなどのオリジナリティあふれる展示物があります。
お盆に『四畳半タイムマシンブルース』を限定上映しますが、スタッフお手製のタイムマシーンが登場しますよ。
3.トークショーもゆっくり、じっくり…3階にフリースペースがあり、舞台挨拶から場所を移動して、ちょっと長めのトークショーなどにも対応することが可能です。
4.お得な会員制度…いくつかコースがありますが、年会費3,000円、上映作品が1本1,000円で観られる「通常会員A」が人気です。無料鑑賞券も2枚ついてきます。
5.オリジナルグッズ多数…Tシャツにキーホルダー、エコバッグなど、オリジナルグッズを販売しています。オンラインショップでも購入可能です。
何かのジャンルに特化しているというよりは、幅広いジャンルを上映し、誰でも来られるような状態を作ることを意識しています。1日12本前後は上映しているので、どれか1本くらいには興味を持ってもらえたらいいなと。一方で『たまこまーけっと』や『四畳半タイムマシンブルース』のように、この場所が舞台になっている作品など、出町座でやるべき映画というものはあると考えており、そこは意識してプログラムを編成しています。
元々映画館として建設された建物ではないので、特に地下のシアターに関しては音の聞こえ方が独特です。ドラマのような普通の作品はあまりクセが出ないように調整していますが、音楽ものの映画などは迫力があると言ってもらえることが多いです。別の映画館で観た作品をもう一度出町座で楽しむコアなお客様もいらっしゃいます。
7/28(金)から上映する『ランガスタラム』。これは『RRR』の主演を務めたラーム・チャランが自身の最高傑作のひとつと称する名作です。もう1作は現在上映中のドキュメンタリー作品『浦安魚市場のこと』。ドキュメンタリーには色んな規模感やジャンルのものがありますが、この作品は映画としても、すごく見応えのある映像に仕上がっています。
以前、小学生の親御さんから「子ども2人で行くんでよろしくお願いします」、とお電話をいただき、実際に子どもさんだけで映画を観に来ていただいたことがありました。そんなアナログなやりとりも楽しみながら、今後も幅広い人々の生活の延長線上に存在する場所であり続けたいと思っています。商店街も活気があって面白いので、ぜひ雰囲気だけでも味わいに来てもらえたらうれしいです。
・施設名:出町座(映画館)
・所在地:京都市上京区今出川通出町西入上ル三芳町133(出町桝形商店街内)
・営業時間:9:00台〜22:00台(上映時間により異なる)
・収容人数:BF:映画(42席)2F:映画(48席)1F:カフェ(出町座のソコ)、書店(CAVA BOOKS)
・公式サイト:https://demachiza.com/