答えてくださった方㈱東映京都スタジオ 企画制作部 洲崎 哲嘉さん
影響を受けた映画『生きる』、『宮本武蔵 一乗寺の決斗』
…『生きる』は中学生の頃「黒澤明作品は押さえておかねば」と意気込んでいた時期に偶然テレビで観た映画です。モノクロでハードルが高いと思っていたのに、あっという間に引き込まれました。
『宮本武蔵 一乗寺の決斗』は吉川英治の小説原作の5部作のうちの1作で、日本映画発祥の地・京都の底力を感じた作品です。決闘シーンの撮影は数日間に渡り、毎朝ロケバスで数百人を滋賀県まで運んで撮影したと会社の先輩に聞き、東映時代劇のスケールの大きさに驚かされました。
東映京都撮影所は、若手スター俳優だった阪東妻三郎さんが立ち上げた個人プロダクションがルーツにあります。当時太秦は一面の竹やぶでしたが、嵐電が通っていて利便性が良く、セットを作るための木材も豊富でした。結果的に阪妻さんのプロダクションは短命に終わりましたが、そういう地の利もあり、太秦の地には一時期メジャーな撮影所が13社も集結していました。太秦はまさに「日本のハリウッド」と呼ばれるにふさわしい場所だったんです。
東映太秦映画村は1975年、一般家庭でテレビが主流となり、映画産業が低迷した時期に「日本映画の灯を絶やすな」というスローガンのもと開村しました。当時近隣では大映京都撮影所が閉鎖し、東映京都撮影所も厳しい状況にありましたが、映画村が誕生し、多くの方にご来場いただき、東映12年ぶりの時代劇本格巨編映画『柳生一族の陰謀』を撮ることができたそうです。
90年代になると、テレビの地上波で時代劇が放映される機会が減り、映画村の入場者も減少しました。その頃に誕生したのが映画技術を結集させた「お化け屋敷」です。
2000年代には施設を国際会議のパーティ会場として貸し出したり、最近では人気アニメとコラボレーションしたりと、時代に応じてさまざまなチャレンジを試みながら今日まで続いています。
映画村は元々東映京都撮影所の屋外スタジオであり、現在でも多くのロケがここで行われています。施設内で本物の撮影現場を見ることができるというのは、映画村最大の魅力のひとつです。
親会社の東映だけでなく、松竹さんや東宝さんもここを使って撮影されています。ほかにも近年ではNHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」やNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」も撮影されました。「カムカムエヴリバディ」はまさにこの映画村を舞台にした話でしたし、「舞妓さんちのまかないさん」では、祇園町の風景を施設内に再現して撮影しました。本物の青空が見えるベランダで主人公が洗濯物を干しながら話しているシーンはとても印象的でした。
今はSNSなどで告知解禁日前に情報が漏れる心配があるため、ロケがあってもなかなか公に宣伝しづらいといった事情はありますが、できれば映画村でのロケを上手くプロモーションに活用していただき、製作側にとってもお客様にとってもメリットの感じられる場所になればいいなと思っています。
昨年12月公開の木村拓哉さん主演の映画『レジェンド&バタフライ』は、Amazonで全世界配信されており、海外での視聴回数も良いと聞いています。
また来年の2月9日に公開予定の『身代わり忠臣蔵』は、ムロツヨシさん主演で、忠臣蔵を新たな解釈で描いたコメディ作品です。東映では今後も京都で時代劇の新作を作っていくと聞いています。
アトラクション…2020年の映画公開に合わせてグランドオープンした「エヴァンゲリオン京都基地」です。高さ15mのところにあるコックピットとなるエントリープラグに乗ることもできますし、フォトスポットとして海外の方からも人気を集めています。
ショー…忍者ショー「シノビノオキテ」が人気です。出演者は実際に時代劇などにも出ているアクション俳優なので迫力がありますよ。
変身体験…1985年からある「時代劇扮装の館」で舞妓さんや町娘、助さん格さんに新選組など、約30種類ほどの衣裳とメイクが体験できます。東映の映画やテレビを手掛けたスタッフが着付けやメイクをしてくれます。
京都には色々な名所があるため、映画村で1日過ごす方は少ないかもしれませんが、変身体験やウォークスルータイプの「からくり忍者屋敷」、「最恐のお化け屋敷」、高さ7mの壁を登る「天空クライミング 忍登(しのぼり)-SHINOBORI-」などのアトラクションを回っていると、あっという間に時間が過ぎると思います。グルメスポットも和洋中にカフェなど色々あり、期間限定のアニメ作品とのコラボメニューや水戸黄門が食べたと言われるラーメンを再現した「水戸藩ラーメン」が人気です。
10月1日(日)まで開催中の鬼滅の刃「鬼殺隊 夏の特別水練」です。映画村の人気アトラクション「刀でGO!」も「日輪刀でGO!」になるなど、この期間限定の企画が満載です。コラボグッズも販売しているので、ファンの方はぜひチェックしてみてください。
映画村は私たちの生まれた日本の文化が楽しく体験いただける場所ですので、ぜひそういう視点でも遊んでいただければと思います。今後もこの場所が日本映画のセールスプロモーションの一環を担い、インバウンドも視野に入れた幅広い時代劇の撮影が京都で続いていくことを願っておりますので、ぜひ皆さんの応援をいただけると幸いです。
・施設名:東映太秦映画村(テーマパーク)
・所在地:京都市右京区太秦東蜂岡町10
・総敷地面積:53,000m²
・営業時間:9:00~17:00(入村は終了の60分前まで)
※季節によって異なります。ご来場前にHPをご確認ください。
・施設内容:複合施設、イベント施設、展示施設、有料施設ほか
・料飲施設:9店舗(うちレストラン4店舗、軽食4店舗、フードスタンド1店舗)
・駐車場:700台
・公式サイト:https://www.toei-eigamura.com/