京都映画盛り上げ隊!
♯5「京都市メディア支援センター」信國明子さん

答えてくださった方京都市メディア支援センター 信國 明子さん
影響を受けた映画『エレファント・マン』『藏』…『エレファント・マン』は生まれて初めて観た映画です。大分の田舎で育ったため、身近に映画を観られる環境がなく、高校時代にこの作品を観た時は衝撃的でした。
『藏』は宮尾登美子さん原作、降旗康男さんが監督をされた東映作品です。東映太秦映画村で12年ほど働いていたのですが、映画の画像処理に携わらせていただく機会があり、CGでダイヤモンドダストを作るのに苦労した記憶が強く残っています。

創立の歴史など、施設に関する豆知識

京都市メディア支援センターは、2009年12月に「京都市フィルムオフィス」という名前で立ち上がりました。それまでは京都市の職員の方が、ほかの仕事と兼務しながらロケ地の案内や交渉のサポートを行っていたんです。その後、2013年に業務を拡大させる機会があり、フィルムだけではなく幅広いメディアに対応するという意味を込めて現在の名前になりました。

どんな組織で、どんな支援を行っていますか

京都市メディア支援センターをはじめ、同様の業務を行う団体は全国の市町村に「FC(フィルム・コミッション)」という名前で存在しています。FCとして活動するには
①非営利公的機関であること
②ロケ支援の相談に対してワンストップサービスであること
③作品内容を選ばないこと
という条件があります。ただ、京都市の場合は撮影所があり、民間のコーディネート会社も数多く存在するため、ワンストップではなく、あくまで情報提供に留めることも多いです。例えば、道路で撮影する場合は道路使用許可申請が必要ですが、当センターでは所轄の警察署や申請方法の情報提供までを行い、申請書の提出代行はやらない、といった感じです。
窓口設立当初は民営圧迫にならないかと心配する声も上がったようですが、今では撮影所の方々も当センターにご相談くださるなど、上手に共存できていると感じています。


同センターで支援したドラマの撮影風景

ロケ支援のほかにも、写真や動画データを提供するフォトライブラリーの運営や、実験的に京都が舞台の映像コンテンツを流通するサポート事業も行ってきました。京都には上映されずに埋もれている良い作品がまだまだたくさんあるので、今後も機会があればこうした取組みが検討できればいいなと思っています。

支援を行う中で、大変なこと、嬉しいと思うことを教えてください

海外作品は規模も感覚も日本とは違うので苦労することが多いですね。最近大変だったのは、アメリカの作品で200人規模の撮影関係者が来られた時です。京都の市街地はそんなに広くないので、60台のロケバスや機材車などを停められる場所がありません。結局、京都市が所有している空き地を利用して、住民説明会を行った上で関係車両を停めてもらいました。ロケ地を探すのも大変ですが、撮影の拠点となる場所や、機材を置く場所を探すのにも苦労しています。
嬉しい瞬間は、一度支援させていただいた制作者さんと、ほかの作品でまたご一緒させていただけた時ですね。同じ方からまたお問い合わせがあると、前回の支援が間違っていなかったんだな、と実感できます。

これまでに支援した映画で、印象に残っている作品

周防正行監督の『舞妓はレディ』です。この作品は初めてシナリオハンティングから協力させていただき、ロケーションハンティング、作品PRと全面的に協力させていただきました。銀閣寺(東山慈照寺)で撮影させてもらえたのは後にも先にもこの作品だけで、これは周防監督の熱意で実現したことです。作品PR協力では、二条城でのプロジェクションマッピングや、知恩院での公開記念イベント、上七軒の芸妓さんたちによる新京極商店街練り歩きなど、様々な支援を行いました。その結果かどうかは分かりませんが、同作の公開後、舞妓志望の女性が4年ぶりに増加したというニュースが話題になりました。


二条城でのプロジェクトマッピングの様子

おすすめのロケ地

個人的に好きなのは一本橋のある白川と、そのすぐ近くにある古川町商店街です。一本橋(行者橋)はロケ地としてもすごく人気がありますし、古川町商店街は昭和のノスタルジックな雰囲気が素敵で、こちらもよくロケをされます。
寺社ですと山科にある梅園が有名な隨心院さんですね。こちらは『るろうに剣心』をはじめ、数々の映画のロケ地として協力いただいています。ゆっくりと拝観できますし、梅や紅葉の季節など観光にもおすすめです。


京都ならではのロケ地として人気の高い一本橋(行者橋)

今後取り組んでいきたいこと

どうしても京都の中心地で撮影したいという声が多いのですが、場所の分散化の観点からも京北や高雄、大原、伏見、山科、西京といったエリアにもロケ地を広げ、制作者に提案していきたいです。京都は郊外にも魅力的な場所がたくさんあるので、作品を通してそれらの情報が伝わり、観光の活性化につながればと思っています。


伏見の宇治川派流

一般の方が参加可能なエキストラの制度について教えてください

メールアドレスをご登録いただいた方に不定期で撮影情報の配信を行っており、現在約9,200名の方にご登録いただいています。京都はやはりほかの自治体と比べ、エキストラとしてご出演いただく機会は多いと思います。現状若い方のご登録が少ないので、ぜひご興味がある方は参加をお待ちしています。

最後にひとこと

一般の皆様にはエキストラだけでなく、ロケ地の提供にもご協力いただいています。古い町家のような場所は意外とあるのですが、現在特に不足しているのが普通の住宅です。もしご自宅や、お持ちの家をロケ地として使用しても良いという方がいらっしゃれば、ぜひご登録をお待ちしております。

・ボランティア・エキストラのご登録はこちら
・ロケ地のご登録はこちら

Information

・施設名:京都市メディア支援センター
・所在地:京都市中京区河原町通二条下ル一之船入町384番地
 ヤサカ河原町ビル7階(京都市産業観光局観光MICE推進室内)
・営業時間:8:45~17:30
・TEL:075-229-6601/FAX:075-213-2022
・E-mail: media-support@city.kyoto.lg.jp
・公式サイト https://ja.kyoto.travel/support/